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警備員の初現場、朝から夜まで立って分かったこと
初めて現場に立ったのは、まだ冬の寒さが残る頃のことでした。研修を終えて、日勤の待機に入ったその日に、いきなり出動の連絡が来ました。しかも朝から夜まで、丸一日の現場です。
複数の警備会社が入る、大きめの現場
着いてみると、緊急の工事にしては大きな現場でした。警備員はほかの会社からも来ていて、誰がどこの会社の人で、誰の指示を聞けばいいのか、最初はよく分かりませんでした。
そこで、素直に「警備未経験です」と伝えました。特に変な反応をされることもなく、任されたのは比較的やさしいポジションでした。今思えば、ちゃんと配慮してもらっていたのだと思います。
担当は歩行者誘導
私の役目は歩行者誘導でした。工事の脇を通る方に「足元お気をつけください」と声をかけて、安全に通っていただく仕事です。車を止めるような難しさはありませんでしたが、一日が終わる頃にはくたくたでした。
立ちっぱなしの疲れもありますが、それだけではありません。慣れない場所で、知らない人に囲まれて、ずっと気を張っていた。体だけでなく、頭も疲れていたのだと思います。
休み方が分からなかった
初現場でいちばん困ったのは、実は休憩でした。「30分休憩行ってきて」と言われても、どこで何をしていればいいのか分からないのです。
警備員は、私有地で休むのは厳禁です。会社の評判を落としてしまうからです。とはいえ、ほかにどこで休めばいいのかも分からない。そこで私は、トイレもある公園を探しました。見つけたのは片道5分ほどの公園。往復で10分歩き、遅れてはいけないと早めに戻ったので、実際に座れたのは15分くらいでした。立ち仕事の休憩なのに歩いてばかりで、疲れが取れるはずもありません。
今なら近くの公園がいちばんですが、コンビニのイートインや、人目につかない場所も使います。現場に着いたら、休憩に使えそうな公園やコンビニを地図アプリで先に探しておくと、いざというとき慌てずにすみます。
実はこれ、自分のためだけではありません。現場では、職人さんから「トイレどこ?」「近くにコンビニある?」と聞かれることがあります。そこでパッと答えられると、ちょっとしたことですが現場がぐっと円滑に回ります。トイレとコンビニの場所を押さえておくのは、警備員にとって意外と大事な仕事のひとつです。
ベテランのおじいちゃん警備員さん
この日、別の会社の超ベテランのおじいちゃん警備員さんと一緒になりました。70代後半、定年なんてとうに過ぎた年齢で、今も現役で現場に立っている方です。その方は、休憩は焦って戻らなくていいと気づかってくれるなど、とにかく優しく接してくれました。仕事を教えるというより、何気ない世間話で場をなごませてくれて、そのおかげで少し肩の力が抜けたのを覚えています。
その後もいろいろな現場で顔を合わせ、たくさんのことを教えてもらいました。会社は違っても、初現場でいい出会いがあったと思っています。
終わってみて
研修で現場に連れて行ってもらい、ポジションを見せてもらったことはありましたが、実際に現場に立った経験はほとんどありません。だから不安はありました。それでも夜に仕事を終えたとき、「なんとかやれたかな」という実感がありました。
工事が始まってから終わるまで、ひとつの現場を最初から最後まで見届けられた。その達成感は、今もよく覚えています。
初めての現場は、誰でも分からないことだらけです。でも、素直に「警備未経験です」と伝えれば、まわりはちゃんと見ていてくれます。
